アメリカ合衆国とイギリス等は、2003年3月20日国連安全保障理事会の新たな決議を経ないまま、イラクに対する武力侵攻を開始した。
周知のとおり、国際連合憲章によって武力行使が許されるのは、国連安全保障理事会が必要な措置をとるまでの間の自衛権の行使と、平和に対する脅威等に対する同理事会の決議に基づく行動に限られる。
アメリカ・イギリス等による今回のイラク侵攻は、明らかにイラクによる武力攻撃に対するものではなく、自衛権の行使や国連安全保障理事会のイラクに関するこれまでの諸決議によって、その侵攻の正当性を裏付けることはできない。
従って、今回のイラクに対する武力行使は国連憲章に違反する「侵略戦争」と言う他はなく、二度にわたる世界大戦の反省を踏まえて築き上げられた国際社会における法の支配と、国連の存在意義を、根底から覆す暴挙である。又、多くのイラク国民に、その生命を奪い身体を傷つけ、その人権を侵害・蹂躙して、悲惨な戦争の惨禍を及ぼしており、到底容認できない。
当会は、アメリカ・イギリス等による今回のイラクに対する武力攻撃に強く抗議し、アメリカ・イギリス等の関係国に対して直ちにその侵略的戦争行為の中止を求める。同時に、あらためて日本政府に対し、戦争に反対する圧倒的な国際世論を真摯に受けとめ、日本国憲法の平和主義・国際協調主義の理念に立ち帰って、アメリカ・イギリス等に戦争行為を即時中止させるべく必要な国際的措置をとることを要求する。
2003年(平成15年)3月31日
長崎県弁護士会
会長 石井精二
会長 石井精二