長崎県弁護士会

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  1. 1 弁護士付添人は、少年審判において、非行事実の認定や保護処分の必要性の判断が適正に行われるよう、少年の立場から手続に関与し、家庭や学校・職場等少年 を取りまく環境の調整を行い、少年の立ち直りを支援する活動を行っている。そのような活動を行う弁護士付添人の存在は、少年の更生にとって極めて重要である。

      しかしながら、少年鑑別所に送致され身体拘束を受けた少年に対する弁護士付添人の選任率は約50%と低く、国選付添人にいたっては、その選任率はわずか 約4.6%にすぎない(2009年統計)。成人の刑事手続において被告人の約99%に弁護人が付されていることと対比すると、少年に対する法的援助が極め て不十分であると言わざるを得ない。

      このように、弁護士付添人の選任率が低い理由は、2007年(平成19年)11月に導入された国選付添人制度が、その対象事件を殺人や強盗等の重大事件に限定し、しかも家庭裁判所が必要と認めた場合に裁量で付すことができる制度に止まっているからに他ならない。

      また、2009年(平成21年)5月21日以降、被疑者国選弁護制度の対象事件がいわゆる必要的弁護事件にまで拡大されたことにより、被疑者段階の少 年に国選弁護人が選任されながら、家庭裁判所に送致された後は国選付添人が選任されず弁護士の援助が受けられないという制度的な矛盾も生じている。これは 重大な法の不備である。

     

  2. 2 このような問題状況を受け、日本弁護士連合会は、国選付添人の対象事件が拡大されるまでの時限的な措置として、全ての会員から特別会費を徴収して少年・刑事財政基金を設置し、これを財源として弁護士費用を援助する少年保護事件付添援助制度を実施してきた。

      当会においても、2008年(平成20年)11月から当番付添人制度の対象を少年鑑別所に送致され身体拘束を受けた保護事件全件にまで拡大した 上、2009年(平成21年)5月以降、被疑者国選弁護人が選任された事件については、上記援助制度を利用するなどして家裁送致後も引き続き付添人として 活動している。さらに、2010年(平成22年)5月以降は、被疑者国選弁護人がやむを得ない事情により付添人としての活動を継続できない場合には、当番 弁護士が引き継いで付添人となれる体制を確立しており、身体拘束を受けた全ての少年に対して弁護士付添人をつけ得る体制を整えている。

     

  3. 3 しかしながら、捜査から審判に至る一連の手続において、適正手続を保障し、更生を支援するという法的援助を少年に対して与えることは、本来、国の責務であ る。我が国が批准している、子どもの権利条約第37条(d)にも、「自由を奪われた全ての児童は、弁護人・・・と接触する権利を有(する)」と規定されて いることに照らせば、国費による弁護士付添人制度を拡充させることは国の急務である。とりわけ少年鑑別所に送致され身体拘束を受けた少年については、少年 院送致や児童自立支援施設送致等の重大な処分を受ける可能性が高いことから、国選付添人による法的援助を受けられる制度を早急に整備しなければならない。

     

  4. 4 よって、当会は、政府及び国会に対して、国選付添人制度の対象事件を、少なくとも少年鑑別所に送致され身体拘束を受けた少年の事件全件まで拡大するよう、速やかな少年法改正を求める。

     

以上のとおり決議する。

 

2011年(平成23年)5月20日

長崎県弁護士会
会長 森本精一
ひまわり相談ネット

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