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1現在国会で審議されている「人権擁護法案」について、マスコミをはじめ各界・各層から厳しい反対の批判的意見が多数発表されています。
日本弁護士連合会も、2001年12月20日「人権擁護推進審議会」の最終答申に対し意見書を提出して総括的批判を行い、その後、2002年3月8日「人権擁護法案の閣議決定」後の同月15日、日本弁護士連合会理事会決議を公表し、
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(1)同法案が設置しようとしている「人権委員会」が独立行政委員会とされるものの、法務省の外局とされ、法務大臣が所轄するうえ、必要十分な数の専任職員を置かず、その事務を地方法務局長に委任する点において致命的欠陥を有するもので、公権力による人権侵害による人権救済機関としての独立性が確保されないこと。
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(2)労働分野での女性差別や退職強要・いじめ等の人権侵害については、厚生労働省の紛争解決機関に委ねて、この分野における人権救済機関としての独立性は全く考慮されないこと。
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(3)独立性の保障されていない人権委員会が、メディアに対し調査を行い、取材行為の停止等を勧告する権限を有することは、民主主義社会において不可欠である市民の知る権利を侵害するおそれが強いこと。
の3点に警告を発し、反対の意見を発表したところであります。
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2「人権擁護法案」をめぐる国会の論議は、日本弁護士連合会が指摘した問題点とこの法案の危険性が更に明確に浮き上がってきています。
当会は、過去に人権侵害を繰り返し指摘されてきた入国管理局、刑務所、拘置所あるいは警察等の公権力から根本的に独立した人権救済機関の設置をあらためて設置することの必要性を訴え、その趣旨に即した法案の根本的組み直しがなされない限り、国民の人権救済機関としての役割が果たせないだけでなく、かえって国民の人権の侵害をもたらす危険性があると言わざるを得ません。
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3当会としては、上記理由により「人権擁護法案」に強く反対します。
会長 石井精二