1 | 本年7月8日午前11時30分頃、奈良市において参議院議員選挙候補者の応援演説を街頭で行っていた安倍晋三元内閣総理大臣が背後から銃撃され、死亡するという衝撃的な事件が発生した。 今回の事件の動機については、報道により、逮捕された被疑者が特定の団体に恨みがあり、安倍元総理がこの団体と近しい関係にあると思い狙ったと報じられているが、真相の解明は捜査の進展を待たなければならない。 |
2 | その動機がいかなるものであれ、銃器を使用して尊い人命を脅かすことが犯罪であることは言うまでもなく、国民を不安に陥れる卑劣な凶行であるばかりか、選挙期間の応援演説中になされたとなれば、他の政治家や諸団体の政治活動および言論の自由を封殺し、更には国民の自由な意見表明を萎縮させる効果をもたらすおそれすらあるのであって、基本的人権と民主主義に対する重大な攻撃と言うほかなく、断じて許されるべきものではない。 |
3 | 長崎市においては、2007年(平成19年)4月17日、選挙期間中に選挙に立候補していた現職の伊藤一長長崎市長が暴力団幹部に背後から銃撃されて死亡し、1990年(平成2年)1月18日にも、当時の本島等長崎市長が右翼団体の構成員に背後から銃撃されるという事件が発生しており、2度も自治体トップに対する銃器による政治テロという、受け入れがたい悲しみと憤りを経験した。 |
4 | 我々長崎県弁護士会は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現するという弁護士の使命に照らし、今回の政治活動および言論の自由、並びに、民主主義に対する重大な攻撃である暴力行為に厳重に抗議するとともに、今後とも、暴力行為や銃器犯罪を社会から根絶するよう、弁護士の使命を貫徹していくことをここに決意するものである。 最後に、安倍晋三元内閣総理大臣のご冥福を衷心よりお祈りする。 |
2022年(令和4年)7月11日
長崎県弁護士会
会長 濵 口 純 吾